まちづくりという漠然とした概念

「まちづくり」という言葉が使われ始めて(1970年代)久しいですが、そもそもまちづくりって何なのでしょう。いつも何気なく使ったり、耳にしていますが、よくよく考えてみると何だか実態のよくわからない言葉であることに気づかされます。

 

 街は時代とともに変化してきました。その変化が良い変化だったのか悪い変化だったのかはともかく、少なくとも人間が生きていくことに都合よくその営みと同時に変えられてきたはずです。「まちづくり」という言葉が無い時代のずっと前から人間は自分たちの生息地を自分たちに合わせて作り変えるという行為を繰り返し行ってきたわけです。それは物理的な開発行為だけでなく、社会のシステムも含めて行われてきました。それらの行為が今では複雑、多様化したために「まちづくり」という漠然としてた言葉が必要になったのではないでしょうか。

 そもそも決まった定義があって使われ始めた言葉ではないので、使う人の立場や考えで色々の意味合で使われているようです。

「まちづくり」の定義として大変よくまとめられたものとして佐藤滋氏(早稲田大学)の「地域社会に存在する資源を基礎として、多様な主体が連携・協力して、身近な居住環境を漸進的(ぜんしんてき)に改善し、まちの活力と魅力を高め、生活の質向上を実現するための一連の持続的な活動」というものがあります。

 この定義も今日少しづつ変わってきている気がします。必ずしも地域社会に存在する資源を基礎とせずとも、主体が多様でなくとも、身近な居住環境でなくとも「まちづくり」はあり得るのではないかと感じています。必要に迫られてまちづくりという言葉が出来たように、その概念も時代に合わせてアップデートされていくのでしょう。

 また、「まちづくり」とよく混同されがちなこととして「まちおこし」があります。多くの人が同じ意味として捉えているようです。それは経済優先の現代において町興しをしたい人が圧倒的に多いからなのでしょう。

 ですが、「まちおこし」はあくまで「まちづくり」の一部、つまり「まちおこし」⊆「まちづくり」であって、必ずしも「まちおこし」=「まちづくり」でありません。当たり前ですが、街を活気づける事だけがまちづくりではないことを忘れてはいけないと思います。

Yoshikatsu Iwanaga

#まちづくり #まちづくりとは