top of page

パッシブソーラーハウスでポカポカ陽気


冬の日、風は冷たくても、晴れてさえいれば、部屋の中はポカポカ陽気です。

大きく開けた窓からは陽の光がサンサンと差し込んで、半袖でもいいぐらい暖かです。

機械設備を使わなくても、太陽の熱を直接利用することで、晴れた日の冬は快適に過ごすことが出来ます。



太陽の熱を機械を通じてエネルギーに変換する太陽光発電をアクティブソーラーというのに対して、太陽の熱をそのまま利用することをパッシブソーラーといいます。

パッシブソーラーの原理は夏の陽差しを遮り、冬の陽差しを取り込むといういたって単純なものです。 けれどもその効果は侮れませんし、単なる熱環境の改善だけでない副産物もあります。

パッシブソーラーの魅力は、特別な費用がかからないことに加え、モダンデザインも楽しめること、自然環境を体感できることにあります。

窓を大きく開けるので、開放感や外部との一体感があります。

建物の作り方を工夫することで、冬は陽だまりの中であたたかくすごすことができます。

冬は太陽の入射角度が低く、11~1月の間は、34°より高くならないため、部屋の奥まで光が差し込みます。

夏は、陽の角度が高く、最も気温の上がる11~13時の間は太陽の角度も高く、55~78°となります。



図のように、軒や庇を出しておけば、夏の暑い日射は、室内の中に入りません。 更に、壁面緑化や庭木があればひんやりと涼しくなります。



畜熱性の高い床や壁にしておけば、冬は、昼間の暖かい熱を貯めておくことができて、陽が落ちた後も、床や壁が温まっているので、暖かさが数時間持続します。

畜熱性が高い材料は、コンクリートやタイル、石などです。熱しにくく冷めにくい材がそれにあたります。石やコンクリートなどの重い素材ほど熱容量が大きいため、夜になっても床や壁がほのかに暖かです。

木材は薄いと蓄積性はありませんが、厚ければ、多少畜熱性はあるようです。

この家も当初は憧れのコンクリート土間にする事を考えていましたが、グルリと廻した外部のデッキと室内を繋げるデザインを重視して、木材にしました。ヒノキ無垢材の24ミリの厚さの材を用いています。

コンクリートの床への憧れもあったのですが、見た目の暖かさと、日本の木をたくさん使おうという事で、ヒノキを選びました。

柔らかいので傷が付きやすいのですが、気泡が多い分暖かみがあり、夜や朝に、はだしで歩いても暖かみを感じることができます。



しかし、パッシブソーラーは万能ではありません。 冬は晴れた日が多いのですが、曇りや雨、雪日は、太陽の恩恵を受けることは出来ません。気候の変化を感じやすいものです。

また、地方や立地条件によっても差があります。 敷地の立地、方角、周辺環境など考慮して計画する必要があります。 数々の条件を考慮しながらオリジナルな空間を設計するのも建築家の仕事ですね。

bottom of page