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まちの多様性

 人は何のために、誰のために「まちづくり」をするのでしょう。もちろん、そこに住んでいる住人、そこで働いている就業者、そこで学ぶ学生、そこを訪れる人のためだと思うのですが、その人たちが幸せであるなら無理にまちづくりなんてする必要はないような気もするのです。それでも人間は小さな不都合をも見つけ出して変えていこうとする本能みたいなものを持っていて、それが文明や文化の発展の原動力になっているのだと思います。今日のまちづくりの場合は経済活動の中で本当に必要では無い改変も必要であるかのように思い込んだ場合が無いとは言い切れないですが。一方で、変化を好まずに伝統を守り続けるという性格も併せ持っていて、そのバランスが人類の暴走を防ぐための本能になっているのではないでしょうか。


 住民の価値観が一つの時は黙っていても自然にまちづくりは出来ていくものなのでしょうが、人々の立場や考え方、感性が多様化している現代社会ではそう簡単ではありません。一人の住人にとって好ましいことが、他の住人にとって必ずしも良い事とは言えないからです。例えば「人通りが少なくなって商売があがったりなので人を呼んで活気を取り戻したい」と考える人がいたとします、ところが逆に「うるさかった通りが静かになって落ち着いた」と思っている人も同時にいるかもしれません。人通りが増えたら増えたで「商売繁盛でウハウハ」という人もいるでしょうし「人通りが多すぎて日常生活に支障(オーバーツーリズム)があるのでなんとか規制をかけて人通りを減そう」と願う人もいるでしょう。

 

 同じ状態のまちであったとしても、まちづくりの方向性は人によって違いがありそうです。それでは民主主義的に多数決で行うものでしょうか。それも違うような気がして、むしろ隠れた少数派の中に本当のまちづくりがあるのではないかとも感じています。

 

 

今日、環境を考える上で、生態系にとって「多様性」というものの重要性が謳われています。「全ての生物は直接的にまたは間接的に関わり合って生きていて、それぞれの役割を持っている。目立たない生き物であっても生態系の輪の中の一員である。」というような意味だと思います。街もこの生態系と同じようにある一定の価値観だけの人たちのためではない、多様性というバランスが重要なのでは無いでしょうか。Yoshikatsu IWANAGA


#まちづくり #多様性 #色々な価値観

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