環境省 水鳥救護研修センター
環境省 水鳥救護研修センター
ナホトカ号やガラパゴス諸島での油流出事故、カリブ海での油井事故などが生じ、海洋の油汚染によって、水鳥などの野生生物が被害を受けました。
そのような事故の際に、迅速に救護がなされるよう、救護のための設備と、鳥のリハビリテーション、人材育成の研修の場を備えた施設が求められ、設置されました。水鳥の救護手法の研修、油汚染事故に伴う水鳥救護の情報収集と情報発信が行われています。
敷地は、住宅地を見下ろす山の斜面で、背後に見晴らし公園があります。
建物は、斜面に半分埋まるようにして、建築の高さをできるだけ抑え、地面との親和性を持たせました。
パーゴラやフェンスは木製にして、自然の風景になじむデザインにしました。
屋上は、背後の見晴らし公園へ通じる道から、アクセスでき、近隣住民が散歩の途中に寄って眺望を楽しめるようになっています。
油流出事故が発生し、水鳥の救護が行われるときは、簡易プールの置き場にもなります。
パーゴラとバルコニーの木製フェンスに網を張り、鳥かごの機能を持たせ、リハビリのスペースとすることもできます。
重油で汚染された鳥を洗う研修ができる研修室や、解剖室の換気を強化するため、煙突状の換気塔をデザインに取り入れました。
この建物を計画、設計する際には、実際に使う予定の獣医師にヒアリングを行い、私たち設計者も水鳥を洗浄する体験を行いました。事故によって、野生生物が傷つかないことを願っています。
基本構想・基本設計・意匠設計: 時空遊園
2000年竣工
水鳥を洗浄するためのシンクは、用途に合わせてオリジナルでデザイン、制作したものです。排水、給水をフレキシブルなものにして、キャスターを付けました。
研修内容に合わせて移動させることが可能なシンクです。